2025年3月竣工
『大屋根と杉板外壁が特徴の余白のある家』
都市の喧騒から少し距離を置いた、静かな住宅街の角地に建つ、凛とした木の家。
端正な切妻屋根と屋久島地杉の外壁が織りなす佇まいは、風景にそっと溶け込みながらも、見る人の心に残る静かな美しさを宿す。住まいを囲む庭は、室内とつながる“もうひとつの居場所”。草木が風に揺れ、光と影が移ろい、季節の変化が日常に寄り添う。この静かな庭が、住まいと家族の記憶をやさしく育んでいく。
ファサードはシンメトリーに構成され、中央に配した玄関と縦長のFIX窓と両端まで水平に伸びた庇が凛とした表情をつくる。
南面の4連層の大開口からは光が流れ込み、自然と呼応する心地よさが広がる。敷地は法規制が重なり、建蔽率や高さに厳しい制限がある中で、1階に生活の主要機能を集約した“1階完結型”の間取りを計画。吹抜けを通じて縦に視線と光を抜き、限られた面積でものびやかな空間を実現している。
構造は許容応力度計算により耐震等級3・耐風等級2を取得。意匠との調和も細部まで追求し、省エネ・耐震・デザインを高次元で融合させた。
さらに“第3の性能”として「安全持続性能」を導入。最高等級★★★の家として住宅内事故の予防と将来の変化への柔軟性を備え、永く快適に住み継げる住まいを目指した。住まい手は、感性と知性を兼ね備えた共働きのご夫婦。性能だけでなく、空間の佇まいや光の質感といった“目に見えない価値”にも共感を寄せてくださった。だからこそ、設計者として思い描いたのは、性能もデザインも満たした、静かで誠実な住まい。「この家でよかった」と、ふと感じられる瞬間が、暮らしのなかに重なっていくこと。
それが、この家に込めた、設計者としてのささやかな願いです。
建物用途
一戸建ての住宅
規模
地上2階建て
延床面積106.83㎡(32.31坪)1階 57.14㎡ 2階49.69㎡
建築面積57.14㎡
構造
主体構造 木造軸組 基礎 一体打ちベタ基礎
外部仕上
屋根:ガルバリウム鋼板立平葺き
外壁:屋久島地杉(ウッドロングエコ塗装)
内部仕上
床 :吉野杉(リボス カルデット ローズウッド着色)
壁 :オガファーザー+デュブロン
天井:オガファーザー+デュブロン ラワンベニヤ
断熱仕様
基礎:押出ポリスチレンフォーム3種bA 立上り部100mm スカート60mm
屋根:HGW16K 265mm
外壁:HGW16K 120mm + HGW16K 55㎜
開口部:アルミ樹脂窓 LIXIL TWペア 玄関 スウェーデンドア
換気+空調:高性能全熱型1種換気システムDOMEO210+ダイキン製アメニティエアコン4.0Kw
建物性能
耐震性能3 耐風等級2(許容応力度計算)
Q値1.01[W/㎡K]
UA値0.34[W/㎡K]
C値 0.16[㎠/㎡]
暖房負荷9.6[kwh/㎡] 冷房負荷22.7[kwh/㎡]
Q1.0住宅Level-3 省エネ基準住宅モデルに対して19.8%
安全持続性能『★★★の家』
安全設計★★★ 持続設計★★★
太陽光発電システム
エクソル 415W 15枚 6.225kW
造園:設計施工 株式会社荒木造園設計
受賞歴
第9回 日本エコハウス大賞
【新築部門】 ノミネート(2025年9月 最終審査)
【協賛企業賞】 硝子繊維協会賞
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