2025年9月竣工
『中庭のある四季を感じる家』
都市部の中にいまも残る田園地帯。
その風景に溶け込むように佇むのが「三箇の家」です。外壁には深い色合いを帯びた天龍焼杉、屋根には鈍く光を放つ淡路いぶし瓦を採用し、時を重ねるごとに味わいを増す素材で、周囲の景観となじむ姿を描きました。遠くから眺めると、まるでそこに昔からあったかのように、静かに土地に寄り添っています。
子育て世代のご夫婦が思い描いた“半平屋”という住まいの形。敷地条件から完全な平屋は難しかったものの、生活の中心を1階に据えながら、子ども室を2階に配置することで、家族の暮らしやすさと伸びやかさを両立させました。
リビングにはベンチ収納をしつらえ、その先には前庭とつながる縁側が広がります。深い軒がかかる縁側は、外と内をやわらかにつなぐ中間領域。構造体の登り梁をあえて表しにした軒は、力強さと美しさを兼ね備え、家の顔となっています。前庭は床の高さに合わせて地面をかさ上げ、ダイニングから眺めると、まるでリビングの延長のような一体感を生み出しました。
さらに、住まいの中心には中庭を配置。キッチンをはじめ、玄関の地窓や階段の踊り場からも植栽を楽しめるよう工夫しました。踊り場の下には畳ベンチを設け、腰を掛けて中庭を眺めたり、本を開いたりできる小さな居場所としています。ヌックや書斎といった家族それぞれの空間も散りばめ、家中に“お気に入りの居場所”を見つけられるようにしました。
緩やかな勾配の階段は、平屋を望んだご夫婦の思いをくみ取ったもの。途中の踊り場もまた、中庭の緑を楽しむための居場所となり、日常に豊かな余白を生み出しています。
半平屋という選択がもたらしたのは、自然を身近に感じながらも、家族がそれぞれの時間を大切に過ごせる暮らしのかたち。
焼杉といぶし瓦の外観が田園の風景になじみ、前庭や中庭、縁側や深い軒が暮らしを包み込む──四季とともに心豊かに生きるための住まいです。
建物用途
一戸建ての住宅
規模
地上2階建て
延床面積121.32㎡(36.70坪)1階 80.74㎡ 2階40.58㎡
建築面積85.71㎡
構造
主体構造 木造軸組 基礎 一体打ちベタ基礎
外部仕上
屋根:淡路いぶし瓦 ナイスミドリ+ONE
外壁:天龍焼杉
内部仕上
床 :吉野杉
壁 :オガファーザー+デュブロン、スイス漆喰
天井:オガファーザー+デュブロン、杉羽目板
断熱仕様
基礎:押出ポリスチレンフォーム3種bA 立上り部100mm スカート60mm
屋根:HGW16K 210mm + ネオマフォーム30mm
外壁:HGW16K 120mm + HGW16K 55㎜
開口部:アルミ樹脂窓 LIXIL TWトリプル 玄関 スウェーデンドア
換気+空調:ロータリー型全熱交換換気システムRDKR-KS+ダイキン製アメニティエアコン4.0kW
建物性能
耐震性能3 耐風等級2(許容応力度計算)
Q値1.15[W/㎡K]
UA値0.32[W/㎡K]
C値 0.16[㎠/㎡]
暖房負荷11.2[kwh/㎡] 冷房負荷24.0[kwh/㎡]
Q1.0住宅Level-2 省エネ基準住宅モデルに対して23.3%
安全持続性能『★★★の家』
安全設計★★★ 持続設計★★★
造園:設計 株式会社荒木造園設計(造園は10月施工予定)
普段、見ることのできない構造のことやDAIKOstyleの仕様が分かる解説動画です。
ぜひ、ご視聴くださいませ!