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~耐震に関する要求性能~

家づくりブログ構造のお話全て
2022/11/01

こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている木構造マイスター準一級の大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。

今後、構造に関するお話をシリーズ化してお届けしたいと思います。

震度階級

まず震度階級について、ご紹介。

震度階級は気象庁により、平成8年4月より定められました。

上の表を見ての通り、震度0から震度7まであり、その中でも震度5、6は さらに5弱、5強 6弱、6強と別れており震度階級は10段階に分類されています。

震度6弱以上の地震では、建物が倒壊する可能性があります。

ちなみに、今現在震度7が最大になっておりますが、このさきそれを上回る巨大地震がくれば震度8が制定されるかもしれません。

地震大国日本

左の表は、日本付近で発生した近年の主な被害地をまとめたものです。右の図は今後30年に震度5以上の揺れに見舞われる確率を示したものです。

私たちの住む日本が過去においても、未来においても地震の脅威にさらされていることがよく分かります。

ご存じでしょうか?大地震で命を落とすのは、大半が『人間』・・・

どうして人間が命を落とすのか、それは人間が作った建物が倒壊するからです。

耐震等級1の要求性能

建物を建てるためには、建築基準法に定められる最低限度の基準を満たす必要があります。

では、その建築基準法において地震に備えて要求されている性能、耐震等級とは・・・?

耐震性能については、平成11年にできた住宅品質確保促進法品確法、通称 品確法という法律の中の住宅性能表示制度の中で耐震性能について耐震等級が定められています。

構造躯体の『倒壊防止』については、極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊、崩壊等しない程度(例えば東京を想定した場合、気象庁の震度階で震度6強から震度7程度)となっており、

構造躯体の『損傷防止』については、稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力に対して損傷を生じない程度例えば東京を想定した場合、気象庁の震度階で震度6強から震度7程度)となっています。

『耐震等級1』の耐震性能とは、、、

震度6強から震度7では、なんとか1回だけ倒壊、崩壊しない

震度5強までは構造躯体が損傷しない

というのが、耐震等級1の性能になります。

建築基準法

第一章 総則

(目的)第一条

この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

と、一番初めに書いてあります。

あくまで、最低基準です。

ですから、建築基準法を満たしているので安心ではなくて、最低限のレベルしか保証されていないということになります。

なので、耐震性能も 繰り返しになりますが、

震度6強から震度7 には、 (1回だけ)倒壊、崩壊しない  震度5強までは構造躯体が損傷しない

というのが、耐震等級1の性能になります。

構造安全性確認方法は3通り

①構造計算(許容応力度計算など)

②性能表示計算(品確法)

③仕様規定(壁量計算・四分割法・N値計算など)

になります。

仕様規定は最も安全性レベルが低い計算方法になります。

木造住宅には大きく分けて3つの構造検討内容があります。壁量等の検討。部材の検討。地盤・基礎の検討です。

壁量等の検討には、壁量計算、耐力壁の配置バランス、柱頭柱脚の接合方法、水平構面があります。

部材の検討には、横架材・柱の設計、垂木・母屋・棟木等の設計

地盤・基礎検討には、地盤調査、地盤補強設計、基礎設計

と、3つの構造検討で建物全体の構造安全性が確保されます。

現行(2022年11月現在)の建築基準法第6条・第20条では、木造建築物の場合、最高高さ13m以下、最高軒高9m以下、(地下を除く)階数が2以下、延べ床面積500㎡以下の建物、いわゆる一般的な大きさの2階建て以下の木造住宅は、

四号建築物と定められており、仕様規定にて構造安全性を建築士が検討することになっています。

前述のとおり、仕様規定は、壁量計算、四分割法、N値計算であるため、上記の横架材や柱の設計、水平構面、基礎の設計などは含まれておりません。

ですから、仕様規定は最も安全性レベルが低いということがいえます。さらに、仕様規定による安全性の検討は建築士の義務であるにもかかわらず、

四号特例で確認申請時に提出の義務がないため、構造検討不要と勘違いし、壁量計算もしないまま建築されてしまっているという現実があります。

建築は、あくまで建築士の責任において設計されるものです。

耐震等級1の建物に要求されている性能と、その安全性の確認方法、

そして提出義務がないことが構造の検討をしなくてよいと勘違いされている現実。

『耐震等級1』の耐震性能とは、、、

震度6強から震度7 には、(1回だけ)倒壊、崩壊しない

震度5強までは構造躯体が損傷しない

というのが、耐震等級1の性能になります。

まとめると、建築基準法の『最低基準』である耐震性能は、命は守るけど 住み続ける性能はない ということです。

『安全』の定義が、建築基準法での最低基準と、住まい手の感覚とは違うということです。

次回は、耐震等級3の木造住宅の必要性のお話です。

次のお話『~絶対に確保したい耐震等級3~』はこちら

※資料出展 構造塾

 

DAIKOstyle 西田

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