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天井の高さ2200mmのお話

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2023/05/31

こんにちは!東大阪を中心とした大阪・奈良で高断熱高耐震の木の家専門店として注文住宅を建てるDAIKOstyle西田です。

今日は天井高さのお話です。

皆さん、住宅の天井高さは高い方がお好きですか?低い方がお好きですか?そもそも高いというのはどのくらいの高さでしょうか?では低いとは?

まず、建築基準法では、居室の天井は2100mm以上と決まっております。2m10㎝ですね。背の高い人なら、手を伸ばすと余裕で天井まで届くと思います。まず、これが最低基準ですから、天井高さ2100mmが一番低い天井高さとなります。

一般的に多い天井高さは2400㎜です。8尺弱ですね。そして一般的に、天井高さが高い方がいいと、開放感があると言われています。天井高さは高ければ高い方がいいと言われる方もおられますが、果たしてそうでしょうか?低い天井は圧迫感があるという方もおられます。しかし3mなどあまりに高い天井高さはかえって落ち着きがなくなります。逆に言うと、天井高さは適度に低い方が落ち着きや安心感を得られます。

キャンプの時のテントやタープ

キャンプをするときのことを想像してみてください。キャンプでなくても、広い野原にレジャーシートを敷いて居場所を探すとき、ただ広いところよりも、木があれば、その木陰にレジャーシートを敷きませんか?またテントやタープを張ることで、ほっこりできますよね。屋根ができる、つまり天井ができることで落ち着き感や安心感が得られます。人は居場所を探すときに、安心感を条件としています。それは、雨風をしのぐというねぐらとしての住まいの元来の目的からなるものだと考えています。

というわけで、DAIKOstyleでは落ち着きがあって安心感のある空間を考えるにあたって天井高さを低い目にするように考えています。最新のDAIKOstyle#12西大寺の家では天井高さを2200mmにしています。一般的には低いと言われる天井高さです。

 

家は元来、シェルターです。雨風や外敵から身を守る、心身を休める癒しの空間です。個人的には開放感もいいと思いますが、それはバランス。すべての空間が高い天井は必要ないと思っています。リビングもソファやチェアに座ってくつろぐ時間の方が長いはずです。天井高さは2200mmくらいの方が、ちょうどいい塩梅だと思います。

黄金比から天井高さを考える

黄金比とは「人間が最も美しいと感じる」といわれている比率で、古代ギリシアの数学者が最初に発案したといわれており、近代になって「黄金比」と名付けられています。それが上の図にある、タテ1:ヨコ1.618です。

これを居室空間に置き換えて考えてみます。まず居室の一つの単位として、6畳間や8畳間がありますが、6畳間は1.5間×2間 8畳間は2間×2間。(1間は1820mmです。)2間は芯々3640mmです。部屋の内法は3510mmになります。これを黄金比で高さを考えると2170mmとなります。さらに構造区画では、ひとつの区画の大きさとして2間×2間、2間×3間を基本としています。構造的にも2間というのは、空間やプランを構成するひとつの大きな要素でもあります。その2間幅の天井高さとして、黄金比から考える美しい天井高さは2170㎜ですが、きりのよい2200㎜として考えてよいと思います。

 

天井高さを抑えるメリット

安心感や、美しさ以外にも居室の天井高さを抑えることで得られるメリットがあります。天井高さを低くするよいう事は、同時に階高も抑えることができます。階高とは、文字通り1階と2階の間の高さの事ですが、これにより階段の高さや段数を押さえることができるようになります。わずかなことですが、日々の階段の上り下りが楽になりますし、階高を押さえるということは家全体の高さも抑えることにつながります。つまり壁の面積が減り、家の体積が減ります。家の体積が減るということは、気積が減るという事。冷暖房負荷が減ることにつながり、それは光熱費の削減につながります。さらに壁の面積が減るということは、その分外壁の仕上げや断熱材の量も減るということになります。細かいことを言えば、電気配線の電線の長さも短くなり、その分ロスも減ります。家の階高を押さえるということは、大いにイニシャルやランニングのコスト軽減につながります。

そして、コスト軽減効果だけでなく、家の外観のプロポーションもよくなります。これは黄金比の話からも言えますが、やはり縦長よりも横の画の方が美しく、格好よくなります。

 

天井が低いことのデメリット

続いては、天井が低い場合のデメリットについては、やはり人によっては窮屈感や圧迫感を感じてしまう人もいると思います。また家具のサイズによっては、部屋に入らない場合もあるかもしれないですね。キッチンの高さ850mmとレンジフードの高さが700mmだと、コンロとレンジフードの間が消防法による離隔距離800mmが取れないなどあります。

低さを感じさせない工夫

天井高さは2200mmですが、実際に西大寺の家の

完成見学会に来られた方は一般的な天井高さに比べて低く作られていることには気づかれますが、圧迫感を感じらる方はいませんでした。その理由をお伝えしたいと思います。

まず吹き抜けを設けることで、高さの強弱をつけていること。これはキャンプでの木やテントやタープの話に通じる部分で圧迫感よりも安心感を得られるという点。リビングのチェアやソファから2200mmの天井の先にある吹抜による広い空間を見ることで、抜け感を感じるため低さを感じません。

またダウンライトやシーリングライトなどの天井付けの照明器具を配灯していないことも、低さを感じない一つの要因となっています。天井に光源があると天井高さが強調されてしまいますので、照明を壁付けやペンダント、間接照明を使います。また天井と壁の間に廻り縁を設置しないのも天井ラインを強調しない一つの手法でもあります。

さらに窓。窓を天井高さ一杯に設置することで、空間の広がりが生まれています。窓の既成サイズで高さの大きいものはH2200mmです。天井高さも2200mmにしておけば、2200mmの掃き出し窓を設置すると、窓と天井の間に垂れ壁ができず、壁一面が窓になり、外への抜け感、開放感が生まれます。そうすることで、高さよりも奥行や横の広がりが生まれ、広さを感じます。西大寺の家では、窓際にベンチ兼収納を設けています。ベンチの高さは座りやすい400mmにしているので、サッシはこれまた既成サイズの1800mmにすることで天井一杯に取り付けることができています。

家具が入らないということにも、作り付けの造作家具にすれば解決します。むしろ、樹種も杉や檜、オーク材など、内装の仕上げ材に合わせることもでき、統一感もでてむしろさらに良くなります。

キッチンについては、このようにレンジフードを天井に埋め込むことで解決できます。

 

いかがでしたか?天井高さ2200mmのお話。メリットもデメリットもありますが工夫次第でデメリットは解消できますし、デザインやコストなどトータルで考えると天井の低い家もオススメです。

ご興味をお持ちいただいた方は、お気軽にお問い合わせください。

DAIKOstyle 西田

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