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許容応力度計算で2倍耐震で計算する方法

構造のお話全て
2023/04/05

こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている新住協Q1.0住宅マスター会員で木構造マイスター準1級の大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。

先日、私の出演しているYoutubeのトークライブ『?に答える家づくり相談室 by新住協関西支部』 での質問で

『二倍耐震をうたっているメーカーがありますが、 皆様は耐震等級3以上の耐震性の必要性についてどう思われますでしょうか。』

というものがありました。

Youtubeライブではこの質問について回答させて頂いたのですが、話が変な方向に行ってしまったので改めて、自分なりの考えをお伝えしたいと思います。

まず、耐震等級3というものは、以前のブログでもお伝えしたように建築基準法上の耐震性能である耐震等級1に対して1.5倍の耐震性能を持つことを耐震等級3と区分されるわけですが、この耐震等級3の安全性については、先の熊本地震での被害状況の悉皆調査により、益城町中心部に16棟あった耐震等級3の家が、2棟は小破半壊、軽微一部損傷があったものの、残り14棟は無被害。 2度にわたる震度7の地震、およびその後20回以上も続く震度5以上の余震にも耐え、その後も16棟すべてが住み続けることができたということで、 耐震等級3の優位性が実証されています。

ただし、現在提言されている震度階級の震度7以上の規模の大地震が発生しないということも言い切れないため、より安心を担保するには耐震等級3以上を考えてもいいかもしれないと考えています。

耐震等級3以上の性能とは?

では、その耐震等級3以上の性能とは、どういうものかですが、

某ハウスメーカーさんでは、2倍耐震という商品を用意しているようです。

この2倍耐震という言葉から、耐震等級5という言葉が出てきているようなので、そのあたりについて言及しておきたいと思います。

そもそも耐震等級とは品確法で定めらているもので、ここで耐震等級1,2,3と3つに区分をされています。

あくまで法律によってです。ですから、この耐震等級については、公的な機関により評価されます。それが性能評価制度であり、設計者が構造計算をした構造計算書を公的な第3者機関が審査をすることで、それが認められ正式に耐震等級3というお墨付きを頂くわけです。

ですから法的にも正式に耐震等級3までしか現法では区分されておりませんので、耐震等級5というのは、あくまで言葉のあやですね。

2倍耐震で計算する方法

しかし2倍耐震はというと、これは実際に実現することは可能です。

構造計算(許容応力度計算)をするときに地震力算定用の標準せん断力係数Coを耐震等級1で定められている係数0.2から2倍の0.4にして許容応力度計算をすれば2倍耐震は可能です。耐震等級3は1.5倍ですからこの標準せん断力係数Coは0.3となります。

ただし、耐震等級1の2倍の耐震性能があるからといっても、法律上はあくまで耐震等級3です。

もし将来、法律が改正されて耐震等級5が定められれば、本当の耐震等級5が出てくるかもしれないですけれども。それまでは、どうしても耐震等級5といいたければ耐震等級5相当というべきですかね。

ちなみに、この標準せん断力係数Coを2倍の0.4で許容応力度計算をした場合、耐震等級3ではクリアしていても当然、耐力壁の量や水平構面などの量が足りなくなります。なかなか大変です。

それでも、その性能を求められる方には、公にはお墨付きが出るわけではないですが、2倍の耐震性能の住宅を建てることは可能です。

DAIKOstyle 西田

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毎週月曜20時にライブ配信!YouTubeチャンネル『?に答える家づくり相談室 by新住協関西支部』 に出演中。

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