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空気清浄機はいらない!?24時間換気ってどんなもの?

家づくりブログ断熱のお話全て
2020/05/29

断熱ができたら次は換気を考える

高性能グラスウールによる屋根や壁の断熱、基礎断熱、開口部の断熱=樹脂窓など、

家の基本性能がしっかりしたものができたら、次は換気システムを考えます。

そもそも換気システムって?24時間換気とは?

今の日本の建築基準法では、2003年7月にすべての建築物に24時間換気システムを設置することが原則として義務付けられました。

近年の住宅では、外壁の下地に構造用面材を貼るようになり、室内側にはビニルクロスなどを貼るようになったことで、ある程度の気密性を持つ住宅になってきました。室内に、空気がこもってしまうことによりシックハウス症候群になるというリスクが認められるようになり、このシックハウス症候群の対策として建築基準法によって義務付けられたのが『24時間換気』です。24時間換気の概要としては、1時間に0.5回、外から新鮮な空気を取り込み住宅の空気が入れ替わるというものです。

つまり今の家には、換気システムが必ず設置されています

まず換気には4つ種類があります。

第1種換気・・・給気と排気が機械換気。空気の入り口と出口を機械=換気扇で制御する。

第2種換気・・・給気を機械で制御し、排気は自然排気。手術室やクリーンルームなどで採用されます。

第3種換気・・・給気を自然給気口、排気を機械排気。一般的な住宅がこの手法。

第4種換気・・・給気も排気も自然に。パッシブ換気とも言われます。

ということですが、今の日本では、第1種換気と第3種換気のどちらか選択することになります。

さらに、第1種には、ダクト式、ダクトレス、熱交換(全熱タイプ、顕熱タイプ)というものがあり、第3種でも、ダクトレスと排気のみ集中ダクト排気というものがあります。

と、ここまでが予備知識です。

気密と換気の関係

つぎに換気を計画的に行う上で、切り離せないのが気密性です。

確認申請の際に換気計算をしなければなりませんが、この時の計算は隙間が全くいない状態での計算になります。しかし実際にはどんな住宅にも多少の隙間があり、この隙間の大小で換気量は変化します。

実はC値1.0㎠/㎡でも、3種換気(一般的に採用されている換気の方式)の際の自然給気口からの給気量が50%ということです。

C値1.0㎠/㎡というのは、家じゅうの隙間を、床面積㎡で割ったときの値なのですが、1㎡つまり1mかける1m、だいたい畳半分くらいの大きさの中に、

1㎠、つまり1㎝角の隙間しかないですよ、ということですが、C値1.0でも十分に気密性の高い住宅といえます。

そのC値1.0㎠/㎡でも、50%しか計画換気が行われていないということなので、1時間に0.5回。つまり2時間で、家じゅうの空気が入れ替わるところが、

実は4時間かかるということになります。隙間だらけだと、計画とおりの換気ができないというわけです。

C値は低ければ低い方が確実に計画換気ができるということになります。

換気システムの選び方

換気システムには第1種や第3種、ダクト式、ダクトレス、熱交換など、いろいろと種類があり、いったいどれを選べばいいの?ということなのですが、

選び方にはいくつかのポイントがあります

前項で、計画的に換気をするためには高い気密性必要であることが分かりましたが、24時間換気は文字通り24時間、年中365日常に運転させることが大前提です。

つねに、外から新鮮な空気を供給されなければなりませんし、電気代がもったいないから24時間換気システムを止めるというのは、もってのほか。

まず、日々のメンテナンス性の良さが重要です。多くの24時間換気システムの給気側には、外からの埃や虫などを入れないために、フィルターがついています。

このフィルターが目詰まりしないように定期的に清掃や交換する必要があります。目詰まりして、新鮮な空気が給気されなければたちまち24時間換気システムは崩壊、室内にはよどんだ空気がたまり、結露、カビなどの原因となり、健康住宅のはずが、一転“不”健康住宅になってしまいます。

24時間換気システムにより、常に新鮮な空気を供給し続けるためにも日々のメンテナンスは必須。つまり換気システム本体がメンテナンスしやすい、ということが重要です。天井付けよりも壁付けの方が、年老いた時でもメンテナンスがしやすいなど、メンテナンス性の良さが重要です。

また消費電力も機種選びのポイントです。やはり常に運転しなければならないものですから、日々の電気代も気になるところ。そのためにも消費電力の少ないDCモーターを採用された機種も選ぶ際のポイントの一つです。

熱交換 全熱?顕熱?

ここまでくるとかなり難しいお話。

ほとんどの第1種換気には、熱交換という機能が付いています。

換気の本来の目的とは、汚れた空気排出し、室外から新鮮な空気を取り込むこと、これに尽きます。しかし、換気の際に、せっかく暖めた空気を排出し、

外から冷たい空気を取り込めば、室温は下がる。下がった室温を上げるために、エネルギーを使い室温を上げる。夏はこの逆ですね。これって、なんだかもったいない気もしますし、省エネじゃない気がします。

そこで登場するのが、熱交換換気システムです。簡単に言うと、外の冷たい空気と家の中の暖かい空気の熱を交換して空気だけ取り換えるというものです。

ここで熱交換率というものがありまして、熱交換率が高いものほど、省エネ性が高いものということになります。ただし、一概に熱交換率がよい方が省エネということでもないから難しくなります。

さらに熱交換換気には、顕熱交感(温度のみを交換)と全熱交換(すべての熱=温度+湿度を交換)というものに分かれていて、

一般的には、高温多湿地域には全熱式、寒冷地には顕熱式が適しているといわれています。

全熱式はお風呂の排気はこの24時間システムで熱交換換気することができますが、顕熱式はお風呂は別に居所換気で行うことになります。ということは、お風呂からは、暖かい空気を捨て、どこからか冷たい空気を引っ張ってくるということになります。

顕熱式で熱交換率が高くても、風呂の局所換気による熱損失分を計算すると、全熱式よりも顕熱式の換気全体の熱損失が多きくなることがあります。

私たちの住む東大阪は6地域では、全熱式が向いていると言えます。

全熱式を選ぶときの注意点は湿気を帯びた空気も熱交換しますので、お風呂やトイレの排気も排気ダクトに通し、熱交換ユニットに通るということなのですが、

この熱交換ユニットが臭いなどにも対応したガスバリアをされたものかどうかということ、メンテナンスしやすいということも選定のポイントですね。

全熱交換のメリットは、湿気を帯びた空気、潜熱を交換しますので、確実に計画換気ができるがゆえに過乾燥になる傾向のある高断熱住宅には適した換気システムであると考えています。

このあたりのそれぞれのメリット、デメリット、地域性、断熱性と気密性やコストパフォーマンス、維持管理のしやすさを統合的に判断することで、換気システムを選定する必要があります。

換気と保温

近代看護教育の母として、かの有名なフローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale)

はその著書『 Notes On Nursing(看護覚え書)』で150年以上もの前から換気と保温の重要性について説いています。

これはそのまま換気と保温=断熱として、健康的な家づくりの指針として読み替えることができるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

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