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高性能住宅は住まい方次第。諸刃の剣!?

家づくりブログ断熱のお話全て
2021/02/16

こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている新住協Q1.0住宅マスター会員の大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。

最近はyoutubeやSNSの発展のおかげで、一般のユーザーの方もたくさんの情報を得られるようになりましたね。すごい時代です。各言う私も、もっぱら建築系Youtuberの諸先輩型の動画や、インスタやfacebookから情報収集したりもしていますが・・・

あまりにたくさんの情報がありすぎて一般のユーザーの方にとっては、情報迷子になるんじゃないでしょうか?

最近、特に感じるのは、高性能住宅を求めてこられるお客様が非常に多く、高断熱高気密な木の家を真面目に建てている私どもにとっては非常にありがたいのではありますが、少し心配になることもあります。

ここ最近、お客様の方から、Ua値とか、C値とか、HEAT20 G2レベルとか、床下エアコンとか、付加断熱とか、樹脂サッシとか、熱交換換気とか、よく聞くようになりました。本当によく勉強されているんだなと、恐縮するしだいです。数年前なら考えられないことでした。断熱性とか気密とか、説明する必要がないほどです。ここ最近、本当に高性能な家を求められる方が増えたと実感しています。

でも、ちょっと待って欲しいんです。うわべの数値や建材だけを気にして家づくりをすると、後で後悔するかもしれません。

例えばUa値は高ければ高い方がそれだけで夏は涼しくて、冬は暖かくなると思っていませんか?Ua値は壁、屋根、基礎、窓の外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。換気の熱損失は考慮されていません。Ua値はあくまで、建物の器の熱の逃げにくさ、入りにくさを評価している値であって、冷暖房の負荷を測る値ではなくて、まして快適性を担保する値でもないということです。

例えば、Ua値が高くても、換気を熱交換換気システムから、第三種換気にしたとたん、冷暖房負荷は一気に増えます。

HEAT20のG2レベルとか、最近ではG3レベルを求められる方もいますが、これはUa値で括られたレベルです。目安にはなりますが。
換気を考慮しない平均熱還流率の小さい家を建てても、あくまでそれは器の性能。換気や、日射取得を日射遮蔽がしっかり効果的に考えられていないと宝の持ち腐れということになります。

結局は熱源がいるのです。熱源があった上で、高断熱高気密だからその熱が外に逃げにくい、冷めにくいから、少ないエネルギーで暖かくなる。家中が同じ温度で快適ということになります。その熱源が太陽の熱だったり、エアコンだったりということです。熱源がなく、外からの熱も取り込まない高断熱住宅は、正直言ってむしろ寒いです。

また夏はその逆ですね。冷房もつけずに、日射遮蔽をしないで、ガンガン太陽の熱を取り込む。暑くになるに決まっています。

パッシブ設計、言い換えると太陽に素直に設計することです。南に大きな窓を設ければいいという単純な話ではありません。そのためには、耐震性や、プライバシーの確保、防犯性、色々なことを総合的に考えなくてはなりませんし、南に大きく窓をとっても、道路からリビングが丸見えで、結局シャッターを下ろしたままなんてことでは全く意味ないですから。

高断熱高気密住宅は、確かに高性能で省エネ住宅です。しかし使い方を間違えるとむしろ逆効果。ある種の諸刃の剣のようなもの。

よく高断熱住宅は乾燥するから、と言われますが。これは当たり前なんですよね。高断熱住宅では、その効率の良さから暖房器具にはエアコンを使います。まして気流感があるので、より乾いて感じます。さらに確実に室内の温度は上がるので、空気中に含まれる水蒸気の量は一定のままであれば、比例して相対湿度は下がります。気密性が高いので確実に換気できるので、湿気を含んだ空気=潜熱も排出します。だから過乾燥を防ぐために温度(顕熱)も湿気(潜熱)も熱交換する全熱の熱交換換気が有効ですが、そうでなくとも単純に加湿するために加湿器を動かしたり、炊事をしたり、部屋干しやお風呂のお湯を抜かないで置いておく等で対策できます。

つまり住まい手の工夫が必要です。暖かいも、涼しいも、湿度も、住まい手によるコントロールが必要です。高性能住宅といってもすべてがオートマティックに制御されて、ただ住むだけで快適というわけではなく、じつは結構アナログなくらい仕方が必要です。季節ごとの暮らし方で暑さ、寒さを防ぐのって、古来より日本人が生活の知恵として当たり前にしてきたことなんですね。

高断熱高気密住宅は賢く使いこなせれば、非常に快適な暮らしができます。おまけに省エネまでついてくる。

住まい手の使い方次第の部分が大きいです。4月から省エネ住宅の説明義務が付与されますが、私たち作り手もただ建てるだけではなくて、住まい手に、住まい方を伝えていく責任があるのでしょうね。

情報過多の今の時代です。情報迷子になりすぎて、高性能な家を建てることが家づくりの『目的』になっていませんか?高性能な家を求めるあまり、いろいろと求めるとコストに反映されますし、当然多くの方には、かけられる費用に上限があります。無限にお金があればランニングコストも意識せず、わざわざ断熱気密にお金お掛けなくても冷暖房設備に全ふりした省エネではない快適な家は建てられます。しかし大半の方はトータルコストを考えて、イニシャルとランニングのバランスを考えて、限りある建築費用の中で家づくりをするわけで、そうなると、組める住宅ローンの借入額と、無理なく支払える借入額は違いますから、性能だけを求めるあまり組めるだけ目いっぱいの住宅ローンを組んでしまい、万一ローン破綻に陥ってしまえば、何のための家づくりだったのか、元も子もありません。

家づくりとは、本当にいろいろなことを考えて進めなければなりません。もちろん性能も大事です。それだけではなく、お金のこと。家族のこと。将来のこと。ご近所や地域のこと、経済や社会のこと。それらを総合して考えて、自分にあった家づくりをしていかなければなりません。

大事なのは、建てた家でどんな暮らし方がしたいか?家族とどう過ごせるか?ではないでしょうか?迷子になっている方、今一度、なぜ家づくりをしとうと思ったのか?を思い出してほしいと思います。私たちも、設計に入るときに必ずそれをお聞きするようにしています。

注文住宅は請負契約です。選ぶ方も選ばれる方も、お互いを信じて共に家づくりをしていければと思います。

 

DAIKOstyle 西田

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