Nukata“D”salon
東大阪市額田町----生駒山の中腹に位置するここは、目の前に大阪平野の絶景が広がり、またモノづくりのまち・東大阪にありながらも豊かな自然に恵まれた地域です。『Nukata“D”salon』は、近鉄額田駅かた徒歩2分の利便性の高い場所に誕生したモデルハウス。DAIKOstyleの住まいとして、時代に合った住宅性能はもちろんのこと、日々の使いやすさやデザイン性、そして使う素材や設備にもとことんこだわり抜いた一棟です。そんな『Nukata“D”salon』を設計・施工するにあたり、私たちが特に重きを置いたのは、さまざまな意味での「あたたかい家」を実現することでした。床や天井、壁に建具など、目に見え肌に触れるものをあたたかく。空気環境も、いつも快適で健康的なものに。ランニングコストの省エネ性を高め、家計にも環境にもやさしい住まいに・・・・
当モデルハウスは、たくさんの“あたたかさ”が広がっています。この心地よさをお伝えするには、実際に体感していただくのが一番。ぜひ現地まで足をお運びいただき、お客様ご自身の感覚で確かめてください。
はじめに考えたこと・・・planning
敷地面積144.41㎡。坪にして43.68坪。一見、広いように思えるこの敷地は南北に延びる細長いいわゆる変形地でした。道路境界が24.9mに南北の隣地境界が、それぞれ1.6mと9.1mというほぼ三角形の敷地。けっして恵まれた条件とはいえない、この敷地でまず考えることは、アプローチと駐車スペースのの計画。そしてその奥行の狭さから東西の境界ギリギリにまで配置しなければ、まともな間取りは設計できません。そうなるといかにプライバシーを確保するかという問題があります。また大阪平野を一望できる最高のロケーション。
それらの敷地条件から、おのずとプランは決まってきます。
南側に駐車スペースを設け、そのまま南側に玄関。1階はプライベート空間の主寝室と子供部屋を配置。2階にはリビングと水回りのスペース。
西側には大阪平野の絶景を切り取るピクチャーウインドウを設けます。また、南側の日射取得のための大きな開口部と軒による日射遮蔽。さらに1階の玄関土間に日射をおとすためのひかり床の配置。プライバシーを確保しつつ、日射を取得し、風通しを図る、窓の計画にも工夫が必要でした。そして収納と家事動線についてもこだわって考え抜かれています。
こうして、Nukata“D”salonの間取りは必然的に構築されていきました。
高性能住宅でなければならない・・・technology
プランニングと並行して考えなければならないこと、それは住宅の性能。
DAIKOstyleの標準仕様を考えていくうえでも、このモデルハウスの性能がすべての基準になります。そこで、新住協の温熱計算プログラムQ-pexを駆使し、DAIKOstyleの目指す仕様がこの東大阪の地でどこがマストなのかを考えながら選定していきました。額田プロジェクトとして発進したこのモデルハウスの基本性能として、当初から考えていたのは、付加断熱の標準化でした。
地域区分6地域で、HEAT20G2レベルを達成する、さらに新住協の提唱するQ1.0住宅の標準化を視野に入れる中で、付加断熱は外せない選択でした。またこれまで未採用だったこともあり、付加断熱の採用はある意味これから東大阪で高性能住宅を広めていきたいDAIKOstyleとしては必要不可欠な挑戦でもありました。
つぎに熱交換換気システムの導入。さらに換気システムにエアコンをドッキングさせることにより実現する24時間全館換気冷暖房システム。
さまざまな技術的な挑戦を試みてNukata“D”salonはQ1.0住宅level2の性能をもったモデルハウスとして誕生しました。
1 躯体の耐久性
高性能住宅を考えるうえで、第一に考えなければならないのが、躯体の耐久性能です。
いかに耐震性能の高い建物のでも、躯体の耐久性能が低く、雨漏れや結露、シロアリにより構造体が劣化していればその耐震性能は発揮されないからです。
1-1 通気
屋根は軒からもケラバからも通気を図れるようにし、屋根の頭頂部の棟換気、また下屋根の壁との取り合いからも換気が行えるように施工しています。また壁内の湿気も確実に排出されるように、通気層の胴縁をクロスさせ2重通気胴縁工法を採用しています。
1-2 気密
空気中にはかならず水分が含まれており、それを湿気と呼びますが、湿気は湿度の低い方へ低い方へ移動していきます。その際に壁内にその湿気が移動すると壁内結露といい構造体を腐食させるリスクがあります。そうならないように、防湿気密シートによるシート気密工法を採用しています。気密測定も行い、C値は0.48㎠/㎡でした。
1-3 防水
屋根にはガルバリウム鋼板立平噴きを採用しています。屋根の上から下までが一枚の鋼板でよこのジョイント部分は折り返して挟み込む工法ですから、雨水の侵入リスクが極めて低く、軽量化かつ高耐久です。またベランダの防水は、同じく高い防水性と耐久性を持った金属防水工法「スカイプロムナード」を採用しています。
1-4 防蟻
防水、防湿を同位で重要な防蟻。フクビ化学工業のアリダンシート工法を採用することで、保証期間は10年。さらにホウ酸系薬剤の木部処理に加え、べた基礎一体打ちで、基礎のベース部と立ち上がり部のつなぎ目をなくし、物理的にシロアリの侵入を防ぎます。
2 構造
2-1 許容応力度計算
許容応力度計算により、耐震等級3と耐風等級2を実現しています。
2-2 構造体
構造体には非常に強度にすぐれた吉野材を使用しています。土台には吉野桧。管柱には吉野杉 隅柱、通し柱には吉野杉を使用し、一部、化粧の見える梁には吉野杉を使用しています。すべての柱、梁のサイズを4寸=12㎝としています。垂木にも吉野杉を使用していて、棟換気から排出される空気は杉の香りがしています。
2-3 基礎
基礎はべた基礎一体打ちとしています。ベース部分と立ち上がり部分を2度に分けて施工する一般的な工法と違い、ベース部、立ち上がり部を一発打ちすることで、強度面、気密の面、前述の防蟻対策としても有効な工法です。その分、高い施工技術が要求されます。
3 断熱性能
3-1 屋根
屋根の断熱には、ロックウールブローイング 370mmです。自沈を考慮して施工圧は400mmにしています。R値は7.87(㎡・K/W)。従来の天井断熱工法では、野縁の間にうまくグラスウールが充填できないというリスクと、ツーバイ材を利用した屋根断熱工法では、耐風等級2を取得するために許容応力計算によるが行いないということから、通常の垂木工法で勾配天井の下地を組み、隙間なく断熱材を充填できる吹き込み工法を採用しました。現在では、さらに進化し独自の屋根断熱工法による高性能グラスウール240mmの高断熱化と耐風等級2の取得を実現しています。
3-2 外壁
柱が4寸ということで、壁の厚みも12㎝となります。この壁の厚みいっぱいに高性能グラスウール16K120mmを充填します。さらに構造用合板をはさみ、外側には105mmの高性能グラスウールを付加しています。合計225mm断熱の外壁になりました。
3-3 基礎
基礎内断熱工法を採用しています。基礎立ち上がり部分とベース部分前面に押出法ポリスチレンフォーム3種bAを貼っています。全面断熱とした理由は、床下エアコンを採用したことにあります。床下エアコンによる暖気をコンクリートに吸収されないように、断熱することで床下空間を暖めることを優先しています。
4 開口部・窓
4-1 窓
準防火地域であるこのエリアでは、基本的にYKKapの樹脂窓 APW330防火窓という選択になります。性能面、コスト面からみてもこの選択しかありませんでした。住宅のもっとも熱損失の多い部位である窓に、断熱性の高い樹脂窓を採用するのは基本中の基本となっています。今回は、大阪平野を一望できる2階の西面にピクチャーウインドウを設けています。この窓にはAPW430を採用しています。そのために延焼ラインをさけるため、この窓のつく周囲の壁だけ後退させるという設計的工夫も行っています。
4-2 玄関ドア
窓は樹脂窓の普及により高断熱が進みましたが、まだまだ玄関ドアは国産のアルミの玄関ドアが採用されがちです。湿気は低い方へ低い方へ移動しますから、窓が結露しにくくなった分、断熱性能の低い玄関ドアはより結露しやすくなりますので、やはり窓と同様に玄関ドアも断熱性能が求められます。国産の高性能な玄関ドアはようやく登場し始めましたが、まだまだコストが高く採用しづらいのが現状。高断熱でコストパフォーマンスの良いガデリウスの木製玄関ドアを採用しています。
4-3 外付けブラインド
西側の大阪平野を一望できるピクチャーウインドウ。その絶景を眺めることと引き換えに容赦のない西日への対策として、外付け電動ブラインドの設置をしています。
5 換気・空調設備
5-1 24時間換気システム
屋根、外壁、基礎、開口部と高断熱化ができれば、次に考えるのが換気設備です。他がよくなった分、換気による熱損失が大きくなります。せっかく暖めた空気をそのまま排出するのは省エネ的にももったいない。となると、熱交換換気システムの採用は省ねえ住宅にとっては必須の選択といえます。試しに、Q-pex上で、Nukata“D”salonの換気設備を熱交換式から第3種換気にしたところ、その熱損失は13.69W/Kから54.56W/Kに落ちてしまいます。Ua値では換気の熱損失は考慮されませんので、Q値でいうと、1.003W/Kから1.338W/Kに。Q1.0住宅level2から次世代省エネ基準レベルまで一気に転落してしまいます。DAIKOstyleでは、ガデリウス社の扱うロータリー型全熱交換換気システムRDKR-KSを採用しています。メンテナンス性の良さ、運転音の静かさ、省エネ性、高い換気能力から本機種を採用しました。
5-2 全館冷暖房
前述のRDKR-KSにダイキン製のダクト式アメニティエアコンを組み合わせることでG-airという全館換気冷暖房システム構築することができます。ダクト換気システムの各部屋の給気ガラリより空調した空気が供給されるため、プライバシー性も確保された快適な住空間が実現できます。
5-3 床下エアコン・ロフトエアコン
G-Airによる全館冷暖房システムだけで十分ですが、床下エアコンとロフトエアコンもご来場いただいたお客様に実際に見て頂けるように設置しています。冬季は、床下エアコンのみによる暖房運転、夏季はロフトに設置したエアコンのみによる冷房運転を行います。
5-4 びおソーラー
太陽熱で心地よい空気を循環させるびおソーラーも採用しています。屋根に設置した集熱パネルで暖めた空気を床下に送ることで、床下の基礎コンクリート部分に蓄熱し、床ガラリを通して家じゅうを暖める仕組み。夏は、放射冷却により冷やされた空気を床下に送り込んで利用することで、室内の温熱空間をより快適に整えます。太陽熱を使ったシステムのため、給湯器や冷暖房機器との連動は不要。その分ランニングコストが抑えられます。
6 省エネ設備
6-1 エコキュート
オール電化住宅のNukata“D”salonの給湯設備はもはや説明不要のエコキュート。空気の力で、熱をくみ上げお湯を作る非常に高効率な省エネ給湯設備です。
6-2 太陽光発電システム
創エネ設備として最もメジャーな太陽光発電システム。こちらも説明不要ですね。昼間は発電した電気を使い、余剰電力は電力会社に買い取ってもらう。夜間使用した電力も差し引きしてZEH住宅の要の省エネ設備。その設置方法には若干注意が必要です。屋根に太陽光パネルを設置する場合は後々の雨漏れのリスクのない設置方法の検討が必要です。Nukata“D”salonでは、立平葺きのハゼの部分に掴み金具で太陽光パネルを設置しています。
6-3 蓄電池システム
災害時に備えて非常用電源としても期待値の高い蓄電池システムです。太陽光発電と連動して運転も可能。
触れるところには自然素材がいい・・・design
内装の仕上げ材には、自然素材を使うというところにもDAIKOstyleのこだわりがあります。
一番のこだわりは漆喰壁。スイス漆喰の壁や紙のクロスの上に漆喰系塗料による塗り壁。部屋により仕上げを使い分けていますがいずれも調湿性に富んだ仕上げ材。その部屋の空気の質感は何とも言えないものがあります。高断熱高気密の過乾燥対策としても期待できる仕上げ材です。
最近では、無垢材は漆喰にはウイルス抑制の作用もあることが挙げられています。
ウイルスを吸着し増殖を抑制する強アルカリ性漆喰。漆喰の持つ抗菌機能により、壁に付着した菌やインフルエンザウイルスの生育・増殖を抑制します。
そしてなによりも、その空気感。漆喰で仕上げられた空間はなんといえないさわやかさと心地よさに包まれています。
床は無垢フローリング。モデルハウスでは、北海道産ナラをメインに、吉野杉や吉野桧のフローリングを採用しています。
床のフローリングはもちろん、柱や梁などの構造材、屋根の下地材、造作棚など、木材を使うあらゆる部分に無垢材を使用することを推奨しています。
無垢材からは、抗菌・鎮静などの効果があるフィトンチッドという匂い成分がでており、健康でいられる室内空気をつくる役割を果たしています。ちなみにスギ材やヒノキ材に接触するとインフルエンザウイルスが減少することが明らかになっています。
内装には日本人が古来より使ってきた漆喰や無垢材を使うことで、健康で快適な住空間を実現しています。
Nukata“D”salonに小さなお子様が来たときは、いつもはすぐに泣いて場所見知りする子も長時間いてもご機嫌で過ごしてくれています。それも無垢や漆喰による心地よい空間のおかげなのかもしれません。
最後に
健康で快適は省エネ住宅。日本全国でその技術やノウハウは共有され確立しつつあります。今、私たちがすべきことは、その全国より集められた知識や事例をしっかりと理解し、深めていき最終的にはその土地の気候風土にあった仕様を考えていかなければなりません。Nukata“D”salonはDAIKOstyleのプロトタイプにしてマストな仕様です。そしてメニューのようなモデルハウスです。日々、住まい手の皆様とともにこれからの省エネ住宅をより発展、深堀りしていくことが私たちの使命。すべての住まい手の皆様に幸せな真の省エネ住宅を。