こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている新住協Q1.0住宅マスター会員の大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。
先日、私が7年程前にお世話になったお施主様からリフォームのご依頼があり、その下見にお伺いしてきました。
そのお宅では2階リビングの断熱改修をさせて頂き、今も非常に快適に過ごされているとのことなのですが、今回はトイレや洋室のリフォームなど前回していないところのご依頼です。
久々に、1階の応接間に通して頂き、当時の事などお話させていただいていたのですが、思わず目に留まったのが、この簀戸。
簀戸(すど)と読みます。葭戸(よしど)とも言われ、その名のとおり、葭(よし)の茎で編んだすだれを障子の枠にはめ込んだ戸です。
夏に、板戸や戸襖と交換し、風と通すことで 涼を得るための建具。日本人の昔の知恵ですね。
かの有名な 吉田兼好法師の徒然草の一節にある、『家の作りやう(よう)は夏をむね(旨)とすべし 冬はいかなる所にも住まる 暑き比(ころ)わろき(悪い)すまひ(住まい)は たへ(耐え)難き事なり』ということで、
冬が寒くても、火を熾(おこ)したり重ね着をすればなんとかなるものだが、夏の季節を考えないで造った家は、暑さを快適に過ごす対処のしようがなくて耐え難いことになるからということなのですが、
簀戸はその夏を、風通し良く快適に住まうための道具ですね。
簀戸を入れられるお家は、今はなかなか見ないですよね。思わず写真を撮らせていただきました。
よく高断熱住宅論議でも、先ほどの吉田兼好の夏をむねとすべし、通称なつむね論が取沙汰されます。高断熱住宅は、冬を旨とすべだ~って。確かに、高断熱住宅では、冬の暖房費やヒートショックなどの健康リスクを考えた家づくりが基本なのですが、やはり夏も大事。特に当時よりも温暖化が進み現代の夏は熱中症などのリスクも高くなっています。なので冬も夏も大事という事ですね。当時は、断熱材なんてありませんから、冬は 火を炊いたり、着込めばどうにかなり、夏を旨とした風通しの良い家づくりとなるのは至極当然。しかし、断熱や気密の技術の確立した現代の家づくりでは、夏も冬も旨とした家づくりが可能です。
特に夏は、冷房という機能をもった唯一無二の最強機器エアコンをうまく使うことで快適にしかも省エネに過ごせるようになりました。
しかし、冷房は暖房と違い、家中隅々まで冷房を効かすのは、結構難し良かったりします。それは、部屋ごとにある建具で仕切られてしまうと、存外、建具で冷気がせき止められそれ以上冷気がいきわたりにくくなります。そこで、現代版夏旨住宅に、この『簀戸』が効果を発揮します。
簀戸で、部屋を閉めていても、編まれた葭の間からも空気が行き交う事が出来るからですね。
昔からの日本人の知恵は、現代にも通じるんですね。
でも今、こんな立派な簀戸なんて、つくろうとしたいくらかかるんでしょう?
DAIKOstyle 西田
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