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~微動探査のお話~

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2022/11/12

こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている新住協Q1.0住宅マスター会員で準1級木構造マイスターの大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。

微動探査。ご存じでしょうか?

一言でいうと地盤や建物の揺れやすさを調べる技術です。

この技術、実は60年ほど前からあるものですが、実用化されたのは2000年代に入ってからで、最近ではスカイツリーの建設時などにも使われた技術です。それが、住宅でも活用されるようになって4~5年と、まだあまり馴染みのない地盤や建物の揺れやすさを調べる技術です。

しかし、これが気密測定のように実際に耐震性があるかどうか、設計上の話ではなくて実際に建物の耐震性を計測することができるということで、建築実務者だけでなくエンドユーザーにも注目され始めています。

この度 縁あって、弊社のモデルハウスの微動探査をさせて頂くことになりました。

※モデルハウスの微動探査の結果はこちら

まずは微動探査について説明をさせて頂きます。

微動探査とは?

私たちが住んでいる地球は、 道路交通や 、 海の波 、 川の流れ 、 工場などにより 、 人が感じない僅かな揺れ 微動 が常に発生しています 。その微動を基に、地盤の揺れ方の特徴や硬さ 、 住宅の耐震性能を調べるものです 。

微動探査に用いる機材(微動計)

計測には、食パンより一回り大きいくらいの小型軽量の微動計を4 台用います。微動計の操作はボタン1つで非常に簡単。右写真のようなタイヤ付きの専用収納ケースで収納・充電可能。軽自動車にも載り、飛行機(預け入れ)や電車などでの持ち運びも可能です。

微動探査でできること

■微動探査による調査方法は2つ

①地盤の微動探査

地盤の揺れ方の特徴や地盤の硬さを調べ、地震があった時に地盤がどのように揺れるかを調査。

②家屋の微動探査

住宅の耐震性能の評価。
設計通りの耐震性能を確保しているかのチェック。
耐震補強工事前後の比較で、耐震補強ができたかの確認。
経年劣化によるもの、もしくは地震後の耐震性能低下の具合も測定。

地盤の微動探査

微動探査は 人が感じないくらいの揺れをもとに地盤を探査する新たな地盤調査法です 。
地盤に穴を開けることなく地面に微動計 高精度の地震計 を置いて微動を観測することで地盤の揺れ方の特徴や地盤の硬さを調べ 、地震があった時に地盤がどのように揺れるかを調査するものです 。

微動探査でわかること

■地震時の地盤の揺れやすさ (表層地盤増幅率)
同じ場所に建っている家屋でも直下の地盤が軟らかければ、 地震時の揺れは大きくなります 。
■地盤の卓越周期
家屋の固有周期と地盤の卓越周期が一致すると「 共振 」という建物に被害を大きく及ぼす現象が発生します。
■S波速度構造 層構造の計測
地盤の硬軟によって振動が伝わる速度が変わります。深度約30 mまでの地盤の硬軟を計測する事が可能です。

熊本地震で被害の大きかった益城町で、家屋被害と地盤の周期の関係を調べた、防災科学技術研究所主幹研究員・先名重樹博士(当社が拡販する微動探査の解析者)による論文です。
特定の周期の地盤( 0.5 秒前後)の場所で被害が大きかった。地盤と建物が共振したことで揺れが大きくなり、被害につながったものと想定されています。

微動探査の計測方法

微動探査は、1 宅地あたり次の 2 種類の方法を実施します。観測時間はそれぞれ約 16 分ずつ、準備など含めて 1 時間ほどで現地での作業を終えることができます。

①「極小アレイ」観測法
下図の通り微動計4 台を北向きに、 60 ㎝半径の距離で、ジグ(冶具:正確に位置を取る道具)を用いて配置。
若い番号順に、中心、下、左上、右上、の順に、微動計のボタン等が手前側(南側)に来るように配置。

1.2m四方ほどのスペースで調査可能。

②「不規則アレイ」観測法
下図の通り微動計3 台を北向きに、 5 15m の距離で配置。
微動計の番号が若い順から、下、左上、右上の順に配置する。(極小アレイで用いた4 台目は使用しない)各微動計を北向きに、間隔を 5m 以上、理想的には 10m ほど離して配置。各距離は同じである必要や、角度は正三角形の必要はない。住宅を挟んで調査できるので玄関先と庭、ガレージ等で可。

家屋の微動探査

目的

■住宅の耐震性能の評価、確認

◆新築住宅
施工中・完成後、構造計算して建てられている(建てられた)住宅が設計通りの耐震性能を確保しているかのチェック。
◆既存住宅
現状の住宅が耐震性能があるのかを評価。耐震補強工事前後の比較で、耐震補強ができたかの確認。

新築・既存どちらにも活用可能

家屋の微動探査でわかること

家屋の微動探査でわかることは
3 つ
①建物、地盤の固有周期(建物の耐震性能の確認、地盤種別の判断)
②共振の可能性想定
③建物のバランス(建物の重心、剛心の確認)
家屋に以下のように微動計を配置し、調査時間は約1 時間。

計測結果

地盤の卓越周期(固有周期)から地盤種別を判断します。

建物の固有周期から耐震性を評価します。

地盤の卓越周期(固有周期)と耐震性能から地震時の建物の影響を想定します。

地盤の卓越周期(固有周期)と建物の耐震性能から共振の可能性を判断します。

微動探査機の配置場所から建物の重心・剛心を把握します。

 

耐震補強工事でも微動探査が役に立ちます。

耐震補強工事の前後を比較することができます。

調査風景

家屋計測活用方法

活用方法(経年劣化の確認)

活用方法(震災後の確認)

震災後などに建物がどれほど影響を受けたのか確認も可能

まとめ

微動振動では、

地盤や建物の揺れやすさを測り、その共振の度合いを測ることができ、さらに建物の重心と剛心の位置を測ることができます。

地盤調査のできない、築古物件などの性能向上リノベーションでも微動探査の可能性が広がります。

次回は、実際に弊社のモデルハウスで測定した模様と結果をお伝えしたいと思います。

大阪では建物の微動探査の実績は弊社が1番目だったそうです。

微動探査、今後気密測定のように住まい手の方に望まれる測定だと思います。

ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

※モデルハウスの微動探査の結果はこちら

DAIKOstyle 西田

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