こんにちは! 大阪・奈良で高断熱高耐震な木の家専門|新住協Q1.0住宅マスター会員で木構造マイスター準1級のDAIKOstyle西田です。
住宅の断熱とは、外皮といって外と面する部分の断熱性を高めることが大切ですが、この外皮とは、屋根や天井、壁、窓、など外部に面する部分、そして地面に面する部分の床や基礎を言います。
今回は、この外皮の中でも床や基礎の断熱についてのお話。
床や基礎に断熱方法としては、床の間裏で断熱する床下断熱という方法と、基礎を断熱する基礎断熱という方法があります。
床下断熱
図のように、床の真下で断熱する方法です。西日本ではこちらの床下断熱工法が非常に多いです。床下空間は外という扱いになりますので、湿気がこもらないように、床下を外気が通気するようにしています。これが昔は基礎の立上がり部分に換気口を設けていたのが、現在では土台と基礎の間に通気パッキンを挟むことで、床下空間を通気させます。そうすることで、床下空間は乾燥状態が保たれ、シロアリの対策としても有効だと考えられています。個人的には、乾燥状態が保ちやすいとはいえ夏場の湿気を帯びた空気を流入させるのは少し心配です。しかし、デメリットは床下空間に冬場の寒い空気も通しますので、床下の断熱をしっかりしておかなければなりませんし、床下の給水管などの凍結の恐れもあります。普段、DAIKOstyleの施工エリアの東大阪を中心とした6地域では基本的には床下の配管の凍結の心配はありませんが、生駒市など5地域で大寒波などが来たときは心配ですね。
断熱に関しては、土台、大引きの間に断熱材を入れるだけでなく、熱橋になる大引きの下にも付加断熱をするのが理想的です。(コストが高くなります。)大引きの下までしっかり断熱しておくと、基礎断熱よりも床の表面温度は1~2度高いと言われています。
施工力が問われる方法でもあります。高断熱住宅で快適に過ごすためには、気流止めや高い気密性が必須です。床には給水や給湯、排水、ガス管、電気配線などの貫通部分が存在します。また柱周りにも隙間が多く、これらの貫通部分や隙間を丁寧に気密施工をする必要がありますので、この辺りは注意が必要です。
ちなみにDAIKOstyleでも基本は基礎断熱ですが、床断熱仕様でもC値は0.2代ですので、ちゃんと理解していて施工をしていれば問題はありません。ポイントは丁寧に施工できるかどうかになりますね。特にユニットバスや玄関土間周りは、部分的に基礎断熱になりますので、設計者も現場監督も職人さんもしっかりと納まりを理解しておく必要があります。
西日本で多く採用されているという床断熱ですが、実は床断熱の方が、玄人向けの施工方法だったりします。しかし、ほとんどの場合、お風呂廻りや玄関廻りなどの部分基礎断熱はしていませんから、お風呂廻りや玄関廻りは、通気パッキンをとおして冬場は冷たい外気が流入する構造になっているので、寒い家になってしまいます。
部分的に基礎断熱を採用していない家がなぜ寒くなるかは、また別のブログで説明したいと思います。
基礎断熱
基礎断熱とは、文字通り基礎を断熱する工法です。基礎断熱には、基礎の内側に断熱する「基礎内断熱」と基礎の外側で断熱する「基礎外断熱」の2通りに区分されす。
DAIKOstyleでは、基礎内断熱を標準的に採用しています。
基礎断熱は床下空間を居室と同じ空間と見なし、床下空間の室温も居室と大差ありません。どちらかというと、床下空間の方が、年間通りして温度は安定しています。冬場、1階の床がものすごく冷たい低断熱低気密の床下断熱のお家の2階の床は1階ほど冷たくないということは感覚的に経験をしたことはありませんか?あれは1階の床下が『外』に対して、2階の床下は家の『中』だからになります。居室の空気も断熱材になります。基礎断熱の場合、床下空間が居室になるので、2階の床と同じような温度になるんです。
基礎断熱の場合、熱の影響を受けるの多基礎の立上がり部分になります。立上がり部分は外壁と同様に外気に接しているのですが、基礎の底板は年間通して温度の安定しいる地面と接しているため、底板部分の断熱は、基本的には外周部分から1mでよいとされています。地面の温度が安定しているというのは、井戸水の水温が年中通して同じことからもイメージできますね。
基礎断熱のメリットは、床下断熱に比べ気密施工が単純明快。基礎の外周部分を土台と基礎の間に気密パッキンを敷きこんでしっかりと気密するだけです。床下の貫通部分も関係ありません。基礎の貫通部分はしっかりと気密施工する必要がありますが、基礎の貫通部分は床ができる前に施工できるため、床下に潜って作業しなければならない床断熱工法に比べ非常に施工しやすく、施工しやすいということはより丁寧に施工できるということになりますので、気密性能も床下断熱に比べ圧倒的に取りやすいです。
高断熱高気密を初めてチャレンジする場合は、基礎断熱を採用するのが安全です。(床下断熱であっても、熟練していれば問題はありませんが。)
ベテランであっても施工が単純なことは大切です。単純な作業はミスも少ないですから、安心ですし、施工が単純という事早く施工できれるということですので、大工さんの人件費が浮きます。
また床下エアコンによる、床下暖房も基礎断熱だからこそできる暖房システムになります。
いろいろメリットのある基礎断熱ですが、当然どんなものにも一長一短があります。基礎断熱の場合のデメリットは、基礎のコンクリートが乾燥していく際にから発生する水分(水蒸気)によって、コンクリートが乾ききるまでの間、床下空間の相対湿度が高くなってしまう事です。それによって床下空間にカビが生えてしまうという事も稀にあります。当然、暗くて湿度の高いところでは、シロアリリスクは高くなりますので、床下断熱よりも基礎断熱の方が危険という見方もあります。
しかし個人的には2~3年程で基礎のコンクリートが乾くので、それまでの間の話で、コンクリートが乾ききった後は心配ないと考えています。
ちなみにDAIKOstyleスタイルではシロアリ対策として基礎断熱にするにあたって、基礎の立ち上がりと底板を一体化する一発打ちや、貫通部分も地中ではなく地上に設ける、土台には4寸角の芯持ち赤身材の桧を使う、など物理的にシロアリの進入口を作らない、耐久性能高い材を使うなどの対策をしております。
床ガラリ
床下の断熱方法について、床下断熱と基礎断熱についてご紹介させていただきました。
では基礎断熱をする場合の、必須アイテムである『床ガラリ』についてのお話です。
これが床ガラリです。
よく床下エアコンをしている方の説明を見ていると、床下エアコンの吹き出し口といっているのを見かけます。
間違いはないのですが、正確には基礎断熱だから床ガラリが必要で、基礎断熱だから床下エアコンが採用出来て、床ガラリから床下で暖められた暖気が上がってくるというものです。
個人的には吹き出し口という表現にも違和感を感じていて、確かに床下エアコンを運転しているときに手を当てると多少の気流は感じますが、エアコンの本体から出てくる風量がそのまま床ガラリか出てくるのではなく、1階の床に適度に設置された各床ガラリから、床下エアコンによって空気が押し出されているという感じ。さらに暖房された空気は軽くなるので、床ガラリから温かい空気あ上がってくるのです。ブースターファンを床ガラリに設置していれば吹き出すという表現になりますが、そうでない場合は、単に床ガラリからふんわり出てくるという感じです。
話しを戻して、基礎断熱だから床ガラリがあるということですが、なぜ必要かというと、床下空間も居室だからなんですね。床ガラリがなければ、床下空間の空気は動かず滞留してしまいますので、空気が淀んでしまいます。古いお家の開かずの間なんかに入ると空気が淀んでいてカビ臭いですよね。あのイメージです。特に初年度から3年目くらいまではコンクリートからの発生する水蒸気量が多いので、床下空間の湿度が高くなります。特に夏場は注意が必要です。床ガラリがあればある程度、居室と床下間の空気が行き来しますので床下空間の環境を考えると床ガラリは必須です。
そういう意味では、暖房したり、送風したり、除湿できる床下エアコンは基礎断熱と非常に相性がいいと考えられますね。
床ガラリが、ゴミが落ちそう、床に穴が開いているのがなんか気持ち悪い、怖い、なんて方は 床断熱の方がいいかもしれないですね。
また基礎断熱を採用されたら、あとから床ガラリの上に物を置いたり、閉じたりしないでくださいね。
DAIKOstyle 西田
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