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性能向上リノベーションに向いている築古物件

家づくりブログ土地探しについて全て
2023/01/16

こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている新住協Q1.0住宅マスター会員で木構造マイスター準1級の大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。

家づくりにはいろいろな選択肢や方法がある

分譲地や更地などを土地を購入して家を建てたり、今住まわれている家を解体して、土地を更地にして新しく家を建てること。また古家付きの土地を購入して建て替えるという方法もあります。これらは、新築や建替えといって、0から家を新しく建てることです。

他にはリフォームやリノベーション(以下、リノベ)という選択肢。特に性能向上リノベといって、新築と同様の耐震や断熱性能を持たせる改修工事。これも建替えと同じで、もともと住まわれてる家をリノベしたり、中古物件を購入してリノベすることになります。

度重なる資材高騰の影響で、この性能向上リノベという選択をされる方も今後は増えるかもしれないですね。

私は建替えて新築かリノベかで相談された場合、基本的には建替えて新築をお勧めしています。性能や耐久性の面だけを考えると、当然建替え新築した方がコスパが良いですし、仮に既存建物が45坪など大きい物件の場合、これを45坪のままフルリノベをする場合と、解体して30坪の家に建替え新築する場合では、後者の方が建築コストは抑えられます。私がリノベをお勧めする場合は、今のお住いの家が法規的な制限などで建て替えられない場合や、建替えると今と同等の大きさが取れない場合や立地条件により付帯工事費がとんでもなく掛かってしまう場合や親から受け継いだ家を残したいという思いがある場合等です。

基本的にはこのスタンスは変わらないのですが、条件次第ではリノベを考えるケースも考えてみたいと思います。

コスト比較でリノベを考える

冒頭でも述べたようにインフレにより様々な物価が高騰しています。本来であれば、それと並行して賃上げもされていかなければならないところなのですが、一部大手企業を除いて賃上げはまだまだ先の事のように思います。建築コストも1~2割程度上がっています。3000万円だったものが3500万円になりました。金利の動向も気になるところではありますが、この高騰分500万円を住宅ローンにすると、仮に金利が0.5%で35年ローンだと、月々13000円です。インフレで電気、ガスなどの光熱費、食費なども他にも様々なものが上がっていますから、実際に家計で考えると月々13000円どころの負担では済まないというのが現実。

例えば、30坪の築古物件を性能向上リノベか同じ大きさの30坪の建替えかを比較する場合、建替える場合のコストを比較すると、大きくは基礎と構造体の費用を浮かせることができます。比較する建物の大きさや仕様で一概には言えませんが、30坪程度の家として約500万円程度の費用の差が出ます。ちょうど、この価格差が、新築からリノベにした場合の差と同じくらいになっています。

そう考えると、新築とリノベで比較した場合、同程度の大きさで、ある程度 築古物件の状態しだいではリノベでコストダウンという選択肢もあります。

ではリノベ用の物件を探すときにどんなことを知っておいた方がいいかをお話したいと思います。

まず前提条件として、高性能住宅を求めているということを確認しておきたいと思います。耐震性についてはリノベなので評点1.5、断熱等級6とDAIKOstyleの標準仕様と同程度とします。

どの程度の性能に持っていくかによって、物件の建てられた年代は重要ですが、DAIKOstyleの標準の耐震性能や断熱性能に持っていくには、どの年代お物件もフルスケルトンは必須です。

築年数と建物の程度の目安

1981年以前に建てられた物件(概ね築40年以上)は 旧耐震法時代の建物で、無断熱

1981年~2000年の間に建てられた物件(概ね築20~40年)は、新耐震法時代、断熱はS55年基準

2000年以降は、耐震は現行法で、断熱はH4から次世代基準(現行) になっています。

基礎の事を考えると、2000年以降の物件が安心だと思っています。基礎については基本的に1981年以前は鉄筋が入っていません。1981~2000年は、鉄筋入りの基礎について、法規で規定されますが、基礎の基準については設計者の判断でした。2000年になってやっと基礎の大きさや鉄筋の規定などがされるようになりました。1981年~2000年の間の物件でも、阪神淡路大震災以降に設計施工された物件の方がいいと思っています。阪神淡路大震災のダメージを受けていないことは当然として、中には震災を受けて設計者判断でしっかりした基礎が作られている物件も増えてきていると思います。

確認済証、検査済証があるかも確認しておいた方がいいです。検査済証があると安心ですね。

以前に ~耐震に関する要求性能~ というブログ記事を書いているようにあくまで、建築基準法で定められているのは国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とした最低基準なわけですが、逆に考えると、設計士の判断で安全性のしっかりした建物もあるはずですので、2000年以前の建物すべてがダメというわけでないです。しかしやはり大半の建物が建築基準法で定められた最低基準の性能しか満たしていないというのが現実ではあります。

すこし話がそれますが、多くのローン会社では、中古物件を購入し、リノベーションでも住宅ローンは組めるのですが、

確認申請や検査済証がないと、住宅ローンを組めない、条件が厳しくなるというローン会社も少なからずあるので注意が必要です。審査マニュアル通り一辺倒の、ネットバンクや大手都銀は特に注意が必要です。念のため事前に中古物件購入+リノベの場合の 細かい要件なども検討しているローン会社に確認しておいたほうが良いかもしれません。

話しを戻しますと、2000年以前の建物は基本的に、建替えがいいと思っています。おそらく物件価格もほぼ土地だけの値段になっていると思いますし。
2000年以降で、良質な物件が性能向上リノベに適した物件だと思います。

建物の性能だけを考えると性能評価や長期優良住宅の認定を受けた物件であれば、なおいいですが、これらは物件の価格は建物の価格が高くなります。ちなみに、住宅性能評価は2000年から、長期優良住宅は2009年から始まった制度です。

ハウスメーカーの中古物件は注意が必要

リノベ目的の中古住宅を探す上でも注意が必要なことが、探す築古物件の構造は木造軸組工法(在来工法)に限るということ。といっても市場の大半(7~8割)が木造軸組工法ですから、数は多いです。特にハウスメーカーの中古物件は注意が必要です。

大手ハウスメーカーの場合、各社独自の特殊な工法を採用していて、その工法で型式認定をとっています。型式認定をとると、確認申請も簡略化されるため物件ごとに構造計算などはされていません。型式認定の工法の物件は、そのメーカー独自の工法になりますので、あとからの他社による改修が難しいです。

とくに耐震性能についても物件ごとに構造計算をしているわけではありませんし、そもそも耐震等級3とは品確法や許容応力度計算によって計算されたものを指しますので、型式認定の耐震性能はあくまで、耐震等級●●相当というものになります。

断熱、気密性においても、壁をめくって断熱材を入れたり、サッシを高性能な窓に入れ替えるということもできません。まして窓の位置やサイズを変えるということは構造にかかわるため絶対にできません。せめて内窓をつけるというくらいです。

となると、日射取得や日射遮蔽などを考えたパッシブ設計にはならず、耐震性、断熱性など性能的に満足いく家づくりはできないです。

大手ハウスメーカーは自社の建物に使う建材、部品をOEM化しており、他社で仮に同等品で部品交換をできたとしても、その時点でメーカー保証がきれるという仕組みになっております。型式認定を採用しているためそれも道理ではあるのですが、そうなると他社では部品交換ひとつできないので、値段設定もそのハウスメーカーの言い値ということになり、やはり割高になってしまいます。

木造軸組工法(在来工法)であれば、広く普及した工法ですから、その物件を建築した施工会社に関わらず、性能向上リノベが行えます。

耐震に関しては、耐震診断の上、耐震補強が行えます。断熱に関しては、新住協で培った高断熱住宅の技術が活かせます。

詳しくは、ホームページにて性能向上リノベーションのコンテンツがありますので、ぜひご覧ください。

DAIKOstyle 西田

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