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Q1.0住宅とは?UA値だけでなく、冷暖房負荷で建物の性能を選ぼう!

家づくりブログ断熱のお話全て
2023/09/07

こんにちは!東大阪を中心とした大阪・奈良で高断熱高耐震の木の家専門店として注文住宅を建てるDAIKOstyle西田です。

今回のブログでは、私たちDAIKOstyleが家づくりの技術、その中でも特に省エネ住宅に関する技術である高断熱高気密に関する技術、知識を学んでいる新住協の提唱する Q1.0住宅とは何か?

そして、そのQ1.0住宅は断熱等級の基準となっているUA値だけでなく、冷暖房負荷で建物の省エネ性能を評価するというということについて解説したいと思います。

 

新住協とQ1.0住宅とは?

まず新住協とは、一般社団法人 新木造住宅技術研究協議会 といって鎌田紀彦室蘭工業大学名誉教授が指導する団体で、北海道からスタートし30年以上の活動を経て、今では全国で会員800社を超える民間の高断熱技術研究機関団体として、日本の住宅の省エネルギー化を目的に、高断熱高気密住宅の研究と技術の普及活動を行っています。

その新住協が提唱するQ1.0住宅は、独自の省エネ理論を追求して誕生し、高い断熱性能だけではなく、日射所得、日射遮蔽という太陽の熱エネルギーなど日射をコントロールすることで、住宅の省エネルギー性能を基準化しています。

簡単に言うと、一般住宅の冷暖房にかかる燃費が半分で過ごせる住宅です。

Q1.0住宅には段階的に、Q1.0住宅Level1~4までのlevelがあり、これは単にUA値での評価ではなく、換気による熱損失、日射による暖冷房負荷の影響を考慮した省エネ性能の高い住宅です。その設計ツールとして新住協が開発したシミュレーションソフトQPEXを使います。

 

 

そもそも省エネって何からすればいい?

まず大前提。省エネ化は、エネルギー問題や環境問題、温暖化、カーボンニュートラルやSDGsをはじめ人類に課せられた命題です。運輸部門、企業・事業所など産業を除いた、家庭部門のエネルギー消費を減らすことは、日々の暮らしの中ですまい手が直接できる分野になります。

 

その家庭部門の中でも、エネルギー減別の消費が大きいのはやはり電気です。

 

そして用途別でいうと暖房25.4%と冷房3.2%を足した28.6%がもっとも多いものとなっています。

 

ほぼ同じくらいに給湯エネルギーがあります。

 

そして、家庭における家電製品の一日での電力消費をみると、夏と冬、ともにエアコンがもっとも消費が大きくなっています。

これは、日本の住宅の断熱性能の低さを現している結果と考えられます。それも、ほとんどの日本人が、暑さ寒さを我慢をしたうえでの結果といえます。

新住協では、この暑さ、寒さを我慢せず、快適に暮らしを かつ省エネを実現するために 断熱気密の技術と暖冷房負荷を考えたQ1.0住宅を提唱しています。

 

資料出展:経産省資源エネルギー庁HPより

 

断熱に関する基準や等級がある

昨年2022年にできた断熱等級5,6,7。またZEH基準やHEAT20のG1、G2、G3基準など、数々の断熱に関する基準があります。

その基準は、基本的にはUA値といって「外皮平均熱貫流率」で基準が区別されています。

※UA値は、住宅の外皮である床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。 つまり、熱損失の合計を外皮等面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。

 

 

仮に、まったく同じ間取り、大きさ、断熱性能(UA値)の家を 北海道と大阪に建てたとします。逆に言うと、大阪仕様の家を北海道に建てると言い換えた方が分かりやすいかもしれません。

当然、大阪仕様の家を北海道で建てると、冬の寒さを防ぐためたくさん暖房エネルギーが必要になるだろうということは容易に想像ができると思います。

これが南北に長い日本には温暖地と寒冷地があり、地域ごとにUA値の区分している理由です。

 

↑ 地域ごとに区分された 等級ごとのUA値の基準 ↑

 

つまり寒い地域ほど温暖地と同じように快適性を保つには、高い断熱性能が必要という事です。ちなみに、北海道は1地域と2地域に区分されていて、私たちの住む大阪は6地域になります。

2025年義務化予定の断熱等級4のそれぞれのUA値をみると、北海道は0.46  に対して 大阪は 0.87です。ちなみに、北海道で等級4の家を大阪で建てると等級6になります。

つまり、これだけ建てる地域によって建物の性能は大きく影響されます。

 

ちなみに、このUA値が一般的に使用されるようになったのは、2013年改正の省エネ基準からです。

それまではQ値という「熱損失係数」が使われていました。逃げていく熱量を床面積で割ったものがQ値です。 UA値とは、床面積当たりで考えるのか、外皮面積当たりで考えるのかの違いがあり、 Q値も数値が低ければ低いほど、断熱性能が高いです。しかし、一番大きな違いは、床、外壁、屋根(天井)や開口部の熱還流率を計算するUA値に対して、Q値は、床、外壁、屋根(天井)や開口部の熱損失に加えて、換気による熱損失も計算します。

 

Q1.0住宅の名前の由来

少し余談になりますが、もともと北海道からスタートした新住協では、その提唱する省エネ住宅のQ1.0住宅は、暖房エネルギーを減らすことがその目的の始まりでしたので、当初、北海道で暖房エネルギーを半分にする住宅の熱損失係数Q値が1.0程度(本州でも2.0以下)だったことから「Q1.0(キューワン)住宅」という名前が使われ始めました。

 

Qpexによる 計算結果

新住協では、独自に開発した温熱シミュレーションソフトQPEXを使って、その住宅の熱性能を計算します。

その計算とは、建てる土地の地域、場所、方位、建物の大きさ、断熱材の種類や厚み、窓の数や種類などの条件を入力して、その結果UA値やQ値だけでなく、暖冷房負荷を求めることができるます。ここで大事なことが、建物の断熱性能=熱還流率だけで、省エネ性能を考えるのではなくて、建物の暖房や冷房にかかる暖冷房負荷で 性能を考えることに意味があります。

これは、発足から30年以上にわたり省エネ技術の研究、普及に携わってきた新住協だからこその、省エネの本質的な考え方だと言えます。

換気の熱損失を見落とさない!

先程、建てるエリアで必要な性能が変わることをお話しましたが、それ以外にも省エネ性能=暖冷房負荷が変わる要素があります。

それはUA値で計算しない、換気による熱損失の存在です。換気をすることで暖めた室内の温度が下がることで熱損失が増え、暖冷房負荷に影響します。

また窓の設置する方位やその数、大きさによる日射取得と日射遮蔽の量も、暖冷房負荷に大きく影響します。

つまり、熱交換換気システムの採用や パッシブデザインを考えた設計が重要です。

 

同じプランでUA値別の性能一覧表を作成しました。

この比較表を作成するにあたり新住協の120㎡モデルプランを使っています。

 

同じプランで、断熱等級4から7、それとG1、ZEH+のそれぞれの基準UA値になるように、断熱材や窓の種類を選定しています。そして、換気による熱損失の影響の大きい熱交換換気システムの有無も計算しています。

ちなみに、2025年義務化予定の等級4の暖冷房費を見ると、98,602円(年間)となっています。

高断熱住宅でない人で『ウチは、そんなに使ってないよ~!』という方が、稀におられます。おそらく、その方は暑い寒いを我慢しておられるのだと思います。

この計算結果の条件としては、暖冷房設定を全館連続運転として、冬(暖房期)に20℃、夏(冷房期)に27℃湿度60%を維持するのに必要な暖房負荷というのが条件です。共通の物差しで比べるためにこの条件になっています。ですから、もちろんこの温度帯以外での場合は、計算結果も変わってきます。

 

では、まずはUA値の小さい(性能の高い)順に上から並べています。

上から、等級7、6、ZEH+、G1、等級5、等級4と並んでいます。

これを上から、暖冷房負荷の少ない順に並べた表がこちらになります。

熱交換換気システムの有無は、UA値の大小に関係しませんが、暖冷房負荷には当然関係します。

等級7は それ以下の等級6とは一線を画していますので、等級7の熱交換換気システムの有と無がワンツーフィニッシュです。次点に等級6の熱交換有がランクイン。

ここで面白いのが、なんと等級6でも熱交換がなければ、格下のはずのHEAT20のG1の熱交換有よりも下になっています。

 

↓ ここに新住協モデルプランでDAIKOstyleの標準仕様の場合、UA値は0.37ですが、等級7の熱交換なしよりも暖冷房負荷が良くなります。 ↓

 

暖冷房負荷と日射の関係

こちらは、北向きで南側には3階建ての家が建ち、日射取得が望めないという敷地条件。こちらのUA値は0.3です。暖冷房負荷は、電気代に換算して26,566円。

それに対して、南向きで日射取得の条件がよい立地。しかし、加美東の家に比べてUA値は、0..とやや劣ります。電気代は19,916円です。

UA値と暖冷房負荷の関係が逆になっています。

 

このことから建物の大きさ、窓の数(日射取得や遮蔽)などが大きく影響することも分かります。

 

省エネ性能はUA値だけでなく、暖冷房負荷で考える!

このように、単一的にUA値のみを考えるのではなく、熱交換機の採用、日射取得や遮蔽を考慮した設計をうまくやれば、たとえUA値が等級7に届いていなくとも、等級7以上の省エネ性能を持った住宅を建てることができる可能性があります。特に大阪は冷房負荷が高くなる傾向にあるので、日射遮蔽がとても重要です。

素材選び、プラン設計力もさることながら、QPEXのように暖冷房負荷を計算しながら設計することが必要です。

省エネ性能の高き住宅を望むなら暖冷房負荷で選ぶということが重要です。

 

 

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DAIKOstyle 西田

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