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DAIKOstyle施工事例の設計解説シリーズ 第一弾「庭とつながる縁側のある家」

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2024/10/29

こんにちは!東大阪を中心とした大阪・奈良で高断熱高耐震の木の家専門店として注文住宅を建てるDAIKOstyle西田です。

新シリーズ!!DAIKOstyle施工事例の設計解説!!

ということで、第1弾は、先日、日本エコハウス大賞の新築部門で優秀賞を頂いたDAIKOstyle#12西大寺の家「庭とつながる縁側のある家」です!

エコハウス大賞のプレゼンのスライドを使いながら、解説していきます。

ではまず、すまい手とこの家のプロフィールです。

在宅で共働きのご夫婦と子ども二人の4人家族。29坪の住まいです。主な要望は、『最小でありながら最適サイズ』、そして家族それぞれに居場所がほしい、庭を楽しみたい等でした。

建築地は古い街並みのある奈良県奈良市。
この地域では景観法や風致地区ゆえに、使う色など景観にあった外観という条件があり、また建ぺい率40%、容積率60%と敷地に対して建物の大きさにも制約があります。敷地49.22坪に対して設計可能な最大の延べ床面積は、わずか29.5坪でした。

一方で、通り土間や1・2階それぞれに夫婦の仕事部屋を設けるなど、すまい手からの要望のボリュームは大きく無駄のない設計が求められました。

そこが本物件での一番の設計的チャレンジとなりました。

明るい未来が見えるエコハウスの提案

今回の日本エコハウス大賞のテーマは『明るい未来が見えるエコハウスの提案』でした。

このテーマに対してDAIKOstyleの答えは『調和』というキーワードをもって、デザイン・スペック・素材の3つの要素に分けて解説していきます。

ひとつ目のDesignでは大きく分けて次の3つの調和を検討しました。

  • 奈良の街並みとの調和
  • 職住における家族の距離感の調和
  • 間取りとコストの調和

 

奈良の街並みとの調和

奈良の街並みに調和するファサードとして外壁には焼杉を使い、軒先は道に向け、入口は平入りにし、下屋根を掛け、中が丸見えにならないように、千本格子を設けることで、奈良の町家らしいファサードを目指しました。

これは、古来より店舗併用住宅である町家という性質と、在宅で共働きというご夫婦の暮らし方に親和性があり、住まい手の暮らしと家のデザインとの調和を目指しています。

 

職住における家族の距離感の調和

 

玄関を開けると高天井の吹抜空間があり、板間を上がると直接リビングダイニングが広がります。

29坪とコンパクトながら通り土間、スタディコーナー、子ども室、ロフトなど、家族それぞれの居場所を設け、吹き抜けのある玄関土間とリビングを一体化させることで開放的な空間となっています。

この開放感と家中が居場所になるのは、高断熱住宅ならではの間取りで、家族の距離感を調和させます。

そして、働く場所でもある、今回の住まい。2階の仕事部屋という囲まれた空間だけでなく、1階のワークスペースは仕事と家事育児の両立ができるように奥まった位置に配置しつつ、子どもの気配が感じられるように、建具なしの半個室となっています。

使い分ける工夫だけでなく、リビングから見える窓の景色にもこだわりました。

家の中に居ながらにして、空が広がるような気持ちの良い空間となりました。

 

間取りとコストの調和。

省スペースで何ができるかを最大限考え、設計をする。これは建築コストが高騰し続ける昨今、必要な調和であると考えています。

建物の形状が及ぼすコストへの影響は大きく、1階と2階の大きさが同じ総2階建ては、平家建てや2階に比べて1階が大きい形状に比べて、基礎や屋根の大きさの分コストが少なくなります。

 

子ども室は子どもの成長に合わせてケンドン式建具で間仕切り、広さの可変性を持たせることで省スペース化を図っています。

小さくつくり、広く感じさせる工夫として、リビングは2200mmと低めの天井と吹抜で緩急のある空間をつくっています。

庭は土をかさ上げして、リビングの床とあたかも地続きになるように設計することで、実際よりも広がりを感じるようにしています。

さらに濡れ縁が 中と外との調和、地域と家との調和として繋がりをもつ、中間領域となっています。

 

 

二本目の柱であるSpec(性能、設備)

ここで目指したのは、性能とコストのバランスを見ながらも、その性能が住まい手の五感と調和することです。

まず、この家の基本性能はこちらの内容となっています。

エコハウスにとって大切なのはUA値だけでなく、冷暖房負荷を少なくすることです。

弊社が所属する新住協では、建設費と光熱費のトータルコストが断熱等級7よりもQ1.0住宅level3の方が少なくなると研究されています。目指すべき性能はコストと性能のバランスを考えQ1.0住宅level3としました。

耐震性能は許容応力度計算で耐震等級3となっています。

そして太陽光発電は6.08kW載せていて、ゼロエネルギーとなっています。

奈良は蒸し暑い盆地です。軒の出は日射遮蔽を重視し、春分秋分の太陽高度を遮蔽するように設計しています。

さらに換気設備には、全熱交換換気システムとアメニティエアコンの組み合わせで、

冷暖房共に気流を感じにくい快適な全館空調を実現しています。

 

素材としての調和

素材の観点で最も大切にしているのは、人と住まいと地球とが調和すること。

木・紙・石などサーキュラーエコノミーやアップサイクルを意識した素材選びで脱炭素社会へ貢献しています。

構造材、内装材に同じ奈良県の吉野の杉・桧を使用しています。上棟の前にすまい手家族と吉野の山と製材所へ見学に行くことで、家づくりを通して、木を使う事の大切さを理解してもらい、家に愛着を持ってほしいと考えています。

自社大工による施工を行なっています。地域の素材を地域の職人の手仕事で家にする。これは地域工務店の存在意義でもあると考えています。

素材選びにこだわることは、未来の子ども達が暮らす地域のために、人と住まいと地球が調和できる数少ないサステナブルな選択だと思います。

 

これからのエコハウスの在り方

街並みとの調和・間取りの調和・コストとの調和・五感との調和・人と地球との調和

これが私たちの考える「明るい未来が見えるエコハウス」です。

最後に、

すまい手からのメッセージです。

施工事例設計解説第1弾は、エコハウス大賞のプレゼンそのまんまになってしまいました。次回は、設計で考えたことの細部の解説していきたいと思います。

次回をご期待ください!

 

 

#12西大寺の家「庭とつながる縁側のある家」

 

DAIKOstyle 西田

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