こんにちは、東大阪で高断熱高気密な木の家を真面目に建てている木構造マイスター準一級の大幸綜合建設住宅事業部DAIKOstyle西田です。
建築基準法の『最低基準』である耐震性能は 耐震等級1 で、
命を守るけど、住み続ける性能はない ということをお伝えしました。
今回は耐震等級について 解説したいと思います。
耐震等級は3段階になります。
建築基準法上の最低基準である仕様規定による耐震性能が 耐震等級1 にあたります。
つぎに、その1.25倍の耐震性能を耐震等級2。つづいて、建築基準法の耐震性能の1.5倍が耐震等級であり、最高等級となっています。
その計算方法は3通りあります。
安全性レベルの低い順から、仕様規定。ここは建築基準法ですから、耐震等級1しかありません。
つぎに性能表示計算などで行われる品確法による計算。こちらは、耐震等級1,2,3と定められております。
安全性能レベルが高いものが、許容応力度計算などの構造計算となります。(ちなみに許容応力度計算は、現行(2022年11月現在)の建築基準法第6条・第20条三号で定められている中規模木構造(最高高さ13m以下、最高軒高9m以下、階数3回以上、延床面積500㎡以上)に求められている構造計算です。)
さらに計算方法でも耐震性能が違います。分かりやすく表にしていますが、このように構造計算による耐震等級が 仕様規定の耐震等級よりもはるかに安全性が高いことが分かります。
実際、耐震等級3の壁量は壁量計算で2.5~2.7倍ほどになります。
耐震等級1と耐震等級3の違い
2016年4月に発生した熊本地震で耐震等級3の必要性が実証されました。
熊本地震・・・2016年(平成28年)4月14日21時26分以降に熊本県と大分県で相次いで発生した地震。
気象庁震度階級では最も大きい震度7を観測する地震が4月14日夜(前記時刻)および4月16日未明に発生したほか、最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生しています。
現在の気象庁震度階級が制定されてから初めて震度7が2回観測された。
被害の概要
熊本地震の人的被害は、7月14日時点で、死者55人、負傷者1814人。熊本県内では、地震後には18万人を超える方々が避難。物的被害は、全壊約8300棟、住家被害計が16万棟。加えて、最大約45万戸断水、約48万戸停電、約11万戸ガス供給停止となり、交通網も道路・鉄道・空路が一時不通になるなど、大きな被害が発生しました。
建築学会により実施された益城町中心部の悉皆調査の結果、『耐震等級3』の木造住宅は大きな被害がなかったことが証明されました。
※悉皆(しっかい)調査:調査対象物件をもれなく調査する方法
震度7を記録した熊本地震では、益城町中心部に16棟あった耐震等級3の家が、2棟は小破半壊、軽微一部損傷があったものの、そのまま住み続けられています。震度7でも『損傷防止性能』が証明されました。
新耐震基準で建てられた319棟のうち19棟が倒壊、全壊しております。約6%、100棟あれば6棟住めなくなるという結果となりました。大規模半壊を含む損傷が104棟です。
新耐震基準でも319棟中196棟つまり60%は住み続けられたんでしょう?という声が聞こえてきそうですが、100%安全ではないという事。6%は倒壊、全壊の可能性があるということを見逃してはいけません。それに比べ、耐震等級3の家は100%住み続けられということです。
実際に熊本地震で大規模半壊の被害に遭われた方からのお話ですが、地震直後に雨が降り雨漏れ、家中はカビだらけ、震度5以上の余震が20回も続き ボディブローのように家は壊れていく、大工も含め職人は足らず、当然費用も高騰。修繕リフォームは無理と判断し、再建築まで3年もかかったということです。周囲には、いまだに改修できないまま住み続けている人もいるようです。
もう一度、繰り返します。
耐震等級3は、熊本地震により震度7でも『損傷防止性能』が証明されました。
『耐震等級1』と『耐震等級3』の違い
耐震等級1・・・命は守るけど、もう住めない住宅
耐震等級3・・・命も財産も守り、住み続けることができる住宅
法律で定められているからといって最低基準で良しとするのではなく『当たり前の基準』を上げていかなければなりません。
『建築』という仕事は、建物を作る以前の本質的な部分、『生命、健康、財産』を守る仕事でなければならない。
建物において絶対必要な性能、それが耐震性能です。
耐震等級は選択するものではない、そう考えております。
※資料出展 構造塾
DAIKOstyle 西田
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